鈴木教授から若き研修医に
耳鼻咽喉科・頭頸部外科の対象は、感覚器障害、コミュニケ-ション障害、上気道障害、嚥下障害、当頸部腫瘍の五分野と思います。これらを主として外科的なアプロ-チで治療するのがわれわれの立場と理解しています。対象とする臓器が耳から始まり頸部まで多様であることは、耳鼻咽喉科に関連する学会だけで耳科学会、鼻科学会など15学会にも及ぶことからも想像できます。このような多様な疾患に対応できる臨床の実力を養うには、個人の積極性に加えて系統的な研修システムが必要です。加えて施設固有の特色あるプログラムによって個性ある臨床医を養うことも望まれます。最近は、新研修医制度発足以来の入局者の減少、厳しい医療政策など耳鼻咽喉科をとりまく環境も予断を許さないものになってきました。私の安全管理担当副病院長としての経験から、教室はそれらの逆風に萎縮することなく、のびのびと医療を行ってほしいと願っています。そのために十二分な研修ができるよう環境と体制を整えるのが私の役目と認識しています。
私が教室に赴任したのは1997年ですが、その当初から外来においては大学病院らしい専門外来を充実させ、それをロテ-トして研修することと、医局員間での良いコミュニケ-ションをはかり、万全のチ-ム医療を構築することを目標としてきました。この構想のもとに開設した専門外来は、難聴、めまい、腫瘍など10を数えます。それぞれの詳細は後述されますのでご参照ください。専門医試験でも最近はかなり高度な内容が問われるようになりましたので、合格までは原則として各専門外来をロテ-トし総合的な力をつけます。
その後は進みたい専門分野を自由に選択し、研修を続けます。私の方から特定の研究テ-マを示唆するほかに、個人の自由で研究分野を選択してほしいと思います。専門分野は一分野に限る必要はなく、二分野以上にわたってもよく、むしろその方が好ましいと考えます。
教室の特徴として縦横のコミュニケ-ションが良好なことと、すべてのスタッフが教育熱心なことがあげられます。組織を発展、維持する要素として、ハ-ドや入れ物も必要ですが、それを動かす人材がはるかに重要です。人材の養成が組織を発展させる最も重要な要因と考えますが、教室では幸にも学生、研修医に対して、いわゆる屋根瓦式あるいはマンツ-マンの教育が行き渡っています。
一方、組織の発展は外界を知らずしてありえません。今や外部評価と第三者評価の時代です。井の中の蛙大海を知らず、では自らの組織の評価はできず、進歩も限定されます。そこで教室では国内外の短期、長期の留学を大いに奨励しています。これは国内外の研修を通して所属組織を外から見ることができた私自身の経験からです。希望者にはできるだけ多く外での研修の機会に触れてほしいと思いますが、それには医局のマンパワ-がまず整っていなくてはなりません。内部の人数が多ければそれだけ出張の機会も増し、教室と個人に資するところ大となるわけです。
耳鼻咽喉科・当頸部外科分野において、実力を養い発揮したいと考える若い力の参入を心から歓迎します。